蜂蜜博物誌

映画や舞台や読んだ本。たまに思ったこと

劇評

舞台『team』(2019)_感想

100点un・チョイス!の舞台を見るのはこれで3作品目になる。直近で観劇した2019年版『誰かが彼女を知っている』も今回の『team』も舞台美術が抜群に良い。間近で見ればリアルな場が板の上にあって遠くから見ればセットひとつひとつの山稜のようなラインが美…

舞台『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』(2019年)_感想

2名の役者が限られたセットの中さまざまな役をこなすコメディであること以外、何も前情報を入れないまま足を運んだのですが、作品における劇中劇が印刷機を発明した実在の人物ヨハネス・グーテンベルクを扱ったものだったのは久しぶりに嬉しい誤算でした。…

舞台『骨と十字架』(2019年)_感想

Twitterでの評判とタイトルに惹かれて初めて新国立劇場の小劇場を訪れました。ロビーの壁面に飾られた原人から新人までの歩みや、ゴシック調が美しいフライヤーの原画は、いずれも引き算の舞台美術を補完するような装飾性の高いデザインで、着席前から観客を…

舞台『クレイジーメルヘン』(2019)_感想

映画『ラ・ラ・ランド』の真逆のようなオチは好き嫌いの分かれるところだと思いますがオールフィメール演劇の良さを活かしたような脚本で個人的には面白く観ることができました。社会風刺がコメディとしてきちんと成立しているのも好印象。例えば舞台には大…

舞台『みんなのうた』(2019年)_感想

2014年に第26回池袋演劇祭に出品されたIKKAN氏脚本演出の再演である本作はテンポよく飽きさせないサービス精神に溢れる戯曲だったが、安堵と爽快感を覚える結末に至るための道程は、狙いこそ察せられるものの伏線とおぼしき要素要素がちぐはぐだった。「みん…

舞台『トンダカラ 2nd flight』(2019年)_感想

第一回公演が海と死と夢の物語なら、第二回公演にあたる本作は「あたらしい家族」の物語だった。それもまた夢の話かもしれない。私だって、どこかの女性のパートナーになって子育てをしたい。異性と結婚をする未来絵図よりも胸が高鳴るし、私の妄想メーター…

舞台『BLUE/ORANGE』(2019年)_感想

『Take me out』(2018年)以来の青山DDDクロスシアターだったが、この『BLUE/ORANGE』に足を運んでやっと「はさみ舞台」の視覚効果としての意義を理解できたように思う。オフホワイトの空間の中心には鮮烈なオレンジ。照明を落とす演出には青い光。ウォーター…

舞台『舞台版「魔法少女(?)マジカルジャシリカ」☆第壱磁マジカル大戦☆』(2019年)_感想

周囲が初演で続々とドハマリしているのに影響されてシリーズ第二弾にあたる本作にはじめて足を運んだのですが、前作を観ればピタリとハマるだろうピースの数々を感じつつも初見でもじゅうぶん楽しめる内容でかなり満足度の高い作品でした。ただ単に初見の不…

舞台『となりのホールスター』(2019年)_感想

トリプルコラボ公演 第6弾 舞台《となりのホールスター》 | 合同会社シザーブリッツ・公式BLOG 演劇集団イヌッコロさんとのコラボ企画を初めて見たのは9月公演の『スペーストラベロイド』でした。ごまかしや勘違いによってもたらされる誤解の連鎖。「嘘」を…

舞台『SORAは青い The Sky's The Limit』(2019年)_感想

ここのところ小劇場の観劇が続いていたので久しぶりの中規模の舞台はとても贅沢に思えた。惜しみなく照らされるライトに加えてBGM・SEの多用も豪勢な感じがしたし、衣装もキャストの骨格に似合うものが選ばれていて衣装スタッフの腕のよさが伝わる。「…

舞台『サンドイッチの作り方』(2018年)_感想

記事の表題がいつも無味乾燥な「タイトル_感想」なのでそろそろキャッチーなサブタイトルをつけたほうが親切なんじゃないかと考えたりもするのですが、そのあたりに割けるセンスがない以上に、少なからず、なんでもかんでも読解の助けになるような副題をつけ…

舞台『Take Me Out 2018』(2018年)_感想

2018年思い入れの深い作品は多々あったけれどもカタルシスを得られた観劇は『Take Me Out』だけだったかもしれない。2016年の初演は私生活が慌ただしく機会を得られなかった。春先にようやく観ることのできた再演は最高だった。芝居・演出・音楽・脚本、どれ…

舞台『虹色唱歌』(2018年)_感想

2009年に同じ紀伊國屋ホールで上演された作品の再演だそうです。初演は個人的に馴染みの深い入絵加奈子さんや椎名鯛造さんのお名前もあってびっくり。アフタートークで河原田巧也さんもお話されていましたが、舞台らしいテンポの速いセリフ回しが面白いコメ…

オフブロードウェイミュージカル『bare』(2016年)_感想

この記事は2016年7月にprivetterに掲載した感想に多少の修正を加えたものです。当時ありがたいことにTwitterのフォロワーさんをはじめ舞台のファン、「舞台は観ていないけど記事に共感した」という方から様々な反響をいただきました。今から思えば拙い点も多…

舞台『スペーストラベロイド』(2018年)_感想

ameblo.jp 遅くなりましたが2018年9月末から10月上旬にかけて上演された『スペーストラベロイド』の感想です。演劇集団イヌッコロの羽仁修さんが脚本を手掛け、2015年と2016年にも上演されたお芝居の再々演。これはもう面白さお墨付きだな!と期待をかけて臨…

舞台『朱を喰らうモノの月』(2018年)_感想

szhuwo-stage.com 応援している俳優・八島諒さんの初主演作品『朱を喰らうモノの月~標月島編~』を観劇しました。すっかり斜に構えた大人なのでタイトルが発表になった当初は「なんだこの厨二感は。えらいタイトルバイバイだな」と心配になったり不安になっ…

舞台『PHOTOGRAPH51』(2018年)_感想

あらすじ 世紀の大発見をしたのは彼女。ノーベル賞をもらったのは彼ら―――女性科学者が殆どいなかった1950年代、ユダヤ系イギリス人女性科学者ロザリンド・フランクリン(板谷由夏)は遺伝学の最先端を誇るロンドンのキングスカレッジに結晶学のスペシャリス…

舞台『まっ透明なAsoべんきょ~』(2018年)_感想

演劇集団Z-Lion トップページ ※物語核心のネタバレを含みます。 〈まっ透明な世界〉からやってきた「透明人間」たちは目に見える人間のふりをして人間世界へ「社会勉強」に訪れる。ある夫婦が営む喫茶店へ「社会勉強」にやってきたのはキノコという女の子だ…