蜂蜜博物誌

映画や舞台や読んだ本。たまに思ったこと

映画

映画『ロマンティックじゃない?』(2019年)_感想

ラブロマンス映画を醒めた目で見ている主人公・ナタリーがあたまを打ち付け目覚めると、そこはラブロマンス映画の世界だった。 子どもの頃に愛したラブロマンスの世界はあまりに非現実的でご都合主義、かつ偏見表現に満ちている(寝起きのヒロインはメイクば…

映画『お嬢さん』(2016年)_感想

サラ・ウォーターズ『茨の城』を原作に、1939年・大日本帝国植民地時代の朝鮮半島を舞台にした、女性同士の性愛を描くガールズ・ムービーである。 舞台設定を含めて『お嬢さん』は重層的な支配からの解放を示唆している。日本人の令嬢である秀子は5歳で朝鮮…

映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)_感想

原題の直訳は「釜山行き」 娘を別居中の妻の元に連れていくため、日本の新幹線にあたる高速列車に乗ったファンドマネージャーのソグ。自らの利益や一人娘のためならば何を切り捨てても構わないと考える徹底的な合理主義者だった彼は、周囲が次々とゾンビと化…

映画『チョコレートドーナツ』(2012年)_感想

1909年に第1回「要保護児童に関するホワイトハウス会議」を開催したアメリカは「緊急やむを得ない限り児童を家庭生活から引き離してはならない」方針を定めた。これは「子どもの権利」がまだ社会的に認知されておらず、大人と同様に働かせてしまえるような社…

映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年)_感想

klockworx-asia.com (原題:택시운전사)光州事件(1980年)の実話をもとにした韓国映画。日本がバブル経済に浮かれていた頃、知られるように韓国は1987年の民主化宣言まで軍事政権下にあった。独裁の厳しいなか続いた民主化要求は、1979年・側近による大統…