蜂蜜博物誌

映画や舞台や読んだ本。たまに思ったこと

歴史/実話

舞台『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』(2019年)_感想

2名の役者が限られたセットの中さまざまな役をこなすコメディであること以外、何も前情報を入れないまま足を運んだのですが、作品における劇中劇が印刷機を発明した実在の人物ヨハネス・グーテンベルクを扱ったものだったのは久しぶりに嬉しい誤算でした。…

舞台『骨と十字架』(2019年)_感想

Twitterでの評判とタイトルに惹かれて初めて新国立劇場の小劇場を訪れました。ロビーの壁面に飾られた原人から新人までの歩みや、ゴシック調が美しいフライヤーの原画は、いずれも引き算の舞台美術を補完するような装飾性の高いデザインで、着席前から観客を…

舞台『SORAは青い The Sky's The Limit』(2019年)_感想

ここのところ小劇場の観劇が続いていたので久しぶりの中規模の舞台はとても贅沢に思えた。惜しみなく照らされるライトに加えてBGM・SEの多用も豪勢な感じがしたし、衣装もキャストの骨格に似合うものが選ばれていて衣装スタッフの腕のよさが伝わる。「…

映画『お嬢さん』(2016年)_感想

サラ・ウォーターズ『茨の城』を原作に、1939年・大日本帝国植民地時代の朝鮮半島を舞台にした、女性同士の性愛を描くガールズ・ムービーである。 舞台設定を含めて『お嬢さん』は重層的な支配からの解放を示唆している。日本人の令嬢である秀子は5歳で朝鮮…

映画『チョコレートドーナツ』(2012年)_感想

1909年に第1回「要保護児童に関するホワイトハウス会議」を開催したアメリカは「緊急やむを得ない限り児童を家庭生活から引き離してはならない」方針を定めた。これは「子どもの権利」がまだ社会的に認知されておらず、大人と同様に働かせてしまえるような社…

映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年)_感想

klockworx-asia.com (原題:택시운전사)光州事件(1980年)の実話をもとにした韓国映画。日本がバブル経済に浮かれていた頃、知られるように韓国は1987年の民主化宣言まで軍事政権下にあった。独裁の厳しいなか続いた民主化要求は、1979年・側近による大統…

舞台『PHOTOGRAPH51』(2018年)_感想

あらすじ 世紀の大発見をしたのは彼女。ノーベル賞をもらったのは彼ら―――女性科学者が殆どいなかった1950年代、ユダヤ系イギリス人女性科学者ロザリンド・フランクリン(板谷由夏)は遺伝学の最先端を誇るロンドンのキングスカレッジに結晶学のスペシャリス…